これまでにない一級建築士の通信教育を目指して
元々、一級建築士試験の二次試験対策として、独自の受験ノウハウの再現性を高めたオリジナル教材を作成し通信販売を行っていたのですが、ビジネスを広げていくにあたり、どこか拠点を決めリアルな場で受験指導をしてみようと考え、場を用意し講座を開催することもありました。しかし、指導ノウハウを持っていても、私自身も子どもを抱えていたり、試験に臨む生徒さんたちは日中働いている社会人受験生がほとんどのため、リアルな場で夜間や休日に継続的に指導時間を合わせることは難しいという結論に至りました。
現役受験生時代に、講師に対してもっと思考に踏み込んだ指導をしてほしいと思っていたこともあり、既存の資格学校と差別化をはかるために、どんな提供の仕方ができるか、どんなコンテンツであればよりよいかということを考え、学校で指導された内容についての不明点やさらに掘り下げたいことがある受験生向けの提案や指導をしていく方向を目指しました。
「教室」となる場所探し
社会人である生徒さんは日中忙しいため、隙間時間でも質の高い学習ができるよう「スマホ一つで学習が完結できる」ということを重視し、それを可能にする方法を探していたところRemottyを知りました。
提供する課題に対して、講師と生徒さんのやりとりをほかの生徒さんにも見てもらったり、ディスカッションしたりする場所が必要でしたが、見ず知らずの生徒さん同士のネット上でのコミュニケーションについては心配もありました。この点を解決するために、講座ごとに掲示板を作成し、各講座の生徒さんたちを全員「ゲスト」として招待することで、まずは顔を見ながらやりとりできるのは先生と生徒だけという関係をつくりました。
アナログな添削とデジタルな教室の融合
また、これまでの通信教育というのは課題が自宅に送付され、それに記述し、返送、そこからの添削といったフローだったと思いますが、ファイルをそれぞれでダウンロードしてもらい、記述したものをまたファイル送付し提出してもらうことにより、課題の受け渡しから添削物返却までを圧倒的な速さで実現することができました。
また実技試験の採点は人の目で行われるので、受験指導においても、添削は人の目で行われなければなりません。そのため、生徒さんたちが提出してきた課題について、一つ一つ丁寧に思考の添削を行い、スマートフォン上でも見やすいようにカラーペンの色や太さを使い分けて指導を書くことにより、スピーディーかつ、質の高い指導が実現しました。
ただの〇×といった添削ではなく、どうしたらよりよくなるのか?どういう思考からのアウトプットを出せばよくなるのか?といった、個々のレベルに合わせた添削を行っています。掲示板を上手に使うことで、紙面で返却される添削以外のポイントをタイムリーに伝えることができています。テレビ会議などのオンラインで接続して対話するということはなく、ほぼ対面したことのない受講生との文字によるやり取りです。
掲示板の活用方法
Remottyの掲示板上でディスカッションや学習ノートの共有などを行っています。
生徒とのディスカッションやファイルのやりとりを時系列に沿って残すことができるので、後から遡って検索がすることで勉強に役立ててもらっています。また、ログの提供もできることがさらなる付加価値を生んでおり、復習の質を向上させるものとして生徒さんに好評です。
講座ごとに掲示板を作成し、文頭に★印をつけた時にはファイルがアップロードされている。 ■印をつけたときはディスカッションする議題のもの。
そういったルールで運用をすることにより、内容確認の目的に対する視認性を高め、検索機能を上手に活用することができました。
受験生同士の切磋琢磨の様子がわかる
同じ試験を目指している生徒さんたちにとって、指導者とのやりとりやファイル内容を全員が見えるようになっているため、自分以外の方向けの指導内容がいつでもどこでも見られるというのはとてもよかったと思っています。さらに、その内容に疑問点を持った場合には、コメント機能やメンション機能にて会話に加わり、より議論が深まることも多くあります。口頭で行われる授業と違い、すべての投稿内容が残るので、あとから読み返して復習してもらうということにも一役買えていると思います。
Twitterを通して受講している方たちばかりなので、本名ではなく、ハンドルネームで参加されています(笑)また自身の勉強時間をTwitterなどでつぶやいている生徒さんもいます。
メンターとの交流
指導者以外の立場のスタッフとして、メンターさんに一人入ってもらいました。メンター専用掲示板を作ることで、受験生からの相談や雑談するような部屋を設けることができました。
仮想教室Remottyの様子をSNSに掲載
Remottyの掲示板のスクリーンショットをTwitterを介して紹介することで、どんな指導を行っているのかを発信することで、それをきっかけに連絡をくださった生徒さんもいました。また、Twitter上で「いいね」などをしてくださったおかげで、弊社を知ってもらうこともできました。
今期は私一人で生徒の対応(添削など)を行っていたのですが、添削マニュアルを作成し、現在他県に住む建築士を講師として育成中です。今後事業の拡大に伴い、スタッフの増加なども検討していきたいと思っています。